世界が滅ぶ時、一緒に死にたい人はいますか
2019年、3月。
静岡、海沿いの街――
母親を亡くした過去を引きずる、高校一年生の椎良(シイラ)と、
彼に片想いをする幼なじみの杏子(アンコ)。
いつか大きな地震が来て、
この街ごと海に沈んだとしても構わないという少年と、
彼と生きていくために、一緒に東京へ行こうという少女。
いつまでも続くかと思われた、生ぬるい液体に包まれたような日々。
“だけどあの日……椎良はあの人に出会ってしまったんです”
――訪れてしまった運命の出会い、走り出す恋。
それは、背後に忍び寄る不穏な事件の気配もまだ遠い、
春のできごと――
『バジーノイズ』で鮮烈連載デビューを果たした俊英・むつき潤が描く、
“終末”と“再生”の恋物語、開幕。
原案:麓 貴広『この醜く美しき世界』